バンコクで高級江戸前寿司を提供する《鮨みさき》が、新たにお弁当の販売を始めるとのことでレビュー用にお弁当を頂いた。
これは私のインフルエンサーとしての実力(無きに等しい)を買われたわけではなく、知り合いが鮨みさきの関係者というコネで弁当を恵んで頂いたに過ぎない。つまりただのごっつぁんゴールである。
お弁当はどれも感動的に美味しかった。詳しくはインスタグラムで紹介しているので良かったら見てみて欲しい。
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鮨みさき
☎︎(+66)0619623381
平行世界のオウミギュー(シュタゲ風)

鮨みさきのすき焼き弁当は近江牛を使用している。近江牛は日本三大和牛のうちの1つ、日本最古のブランド牛と名高い高級黒毛和牛である。本来ならば私の世界には存在するはずの無い、平行世界の食い物である。それが何の因果かこの日この時この場所で、私と近江牛はクロスオーバーしてしまったのである。

ハイクラスの肉の破壊力は凄まじいものがある。鮨みさきのバラちらし弁当は手間をかけて丁寧に作られた、緻密で繊細な味わいであったが、近江牛のうまさは脳ミソにガツンと刺さる。肉のプリミティブなうまさを堪能し、私の胸に去来した想いは、
田舎のおっかぁに食わしてやりてぇ、であった。

まずこれが肉なのか。近江牛が肉なら私が今まで食べていたものは動物の死骸である。
近江牛は私の「肉」という概念を一新してしまった。それほどまでの肉レボリューション体験であった。
ギリギリでいつも生きていたいから…

今から本当にあった怖い話をするが、私の1日の食費は70バーツである。1食ではない。1日70バーツ(230円)である。これはもうバンコクで人ひとりが生きていける最低ラインだと思っている。ギリギリでいつも生きていたいからと山Pも歌っていたが、生活水準がギリギリという意味ではないように思う。俺の方がギリギリだぜぇ!という猛者がいたらDMください。
私は定期的に無職になる習性があるため、節約して明日の無職に備えているのだ。しかし私は自炊で要領よく節約できるタイプではない。調理技術も縄文土器で煮ることしか出来ないので、素材のまま食えるものしか食の選択肢が無い。日本にいた頃は安く買えてそのまま食える大豆製品を主食にしていたのだが、イソフラボンの過剰摂取により生理が止まった(バカ)。
米俵で人を殴ると死ぬ

こんなギリギリで生きている人間にいきなり近江牛を与えるとどうなるか分かるだろうか。これは貧乏人をいきなり米俵で殴るが如き所業である。貧乏人をいきなり米俵で殴ると死ぬ。
近江牛でいきなり殴られた私は本物の肉の存在を知ってしまった。近江牛を知らなければ、私は動物の死骸を肉だと信じてそれなりに幸せに生きていけただろう。しかし私はこれから一生、動物の死骸を食って生きるのだ。
身の丈に合わない食べ物は身を滅ぼす。
近江牛一枚から深い知見を得た。さすが鮨みさきの弁当、奥が深い。

